親バカ父ちゃん子育て日記
6月1日 先日奈良県吉野の天河弁財天という神社にお参りをしてきました。高校時代に
山岳部に所属していたボクは、高校生の頃から何度もこの奈良県南部の吉野周辺の山
に登っていて、とても好きなエリアなのです。普段ボクは神様、仏様など全く信じていない
のですが、誰にも従わずわがまま気ままに暮らしていると、自分自身がつぶれそうになり、
何かにすがりつきたくなることもよくあります。今までのボクには考えられない事なのです
が、この神社へのお参りの目的は、お守りを買うことでした。病気平癒と商売繁昌と書か
れた2種類を買いました。気休めにしかならないのはわかっています。お守りを見つけた
涼子が ”これな〜に?” と聞いてきたので説明すると、女房のところにお守りを持って、
”これお守り。りょこたんと母さんと父さんが、病気にならないようにだって。こっちはお客さ
んいっぱい来ますようにだって” と一応きちんと説明ができたので驚きました。早くも涼子
にはパワーが宿ってきたのでしょうか・・・。
6月2日 涼子の元気が日に日に勢いを増してきます。”・・・ごっこをしよう!” と言うの
が多いのですが、今日のようにお客さんのほとんどない日でも、その多くをつきあわされ
ている女房はなんだかお疲れ気味です。家から外に出ると、涼子は近所の友達と走り回
っているし、一日動き回っています。病気をすると看病疲れをし、元気過ぎると遊び相手
に大変だし、やはり育児は大変です。
6月3日 東京ドームのバックネット裏から、バックスクリーンの最上段の人が耳をふさが
なければならないような大声で涼子を怒鳴りつけました。たいした理由ではありません。晩
ご飯を食べるその時に、いただきますを言わなかったので、怒鳴りつけたのです。一日中
わがままを言いたい放題の涼子でありました。プリンがほしい、コーヒー牛乳をくれ、アイ
スクリームを食べたいと、仕事で忙しくしている我々の手を煩わせます。ボクは親から甘や
かされたようなことは一度もなく、殴られ、蹴られ、縛り上げられて育てられました。幼児虐
待などという物騒な言葉がありますが、幼少時のボクはそういう中にいたのかもしれませ
ん。女房はと言えば、叱られるような事はあったようですが、殴られたような経験はないよ
うです。ボクの性格は短気です。女房はおっとり型です。一日中涼子がどんなわがままを
言おうとも、女房は多くの場合黙って聞いていますが、ボクには何故女房が黙っていて、
涼子を叱らないのかわからないことがあります。今日も朝から晩まで涼子の言いたい放題
が続き、それに対して女房も全く叱ることもせず、仕事の邪魔になっていました。ようやく
夜の営業を終え、女房、子供のご飯の準備を整え、さあ食べようという矢先、何がどうなっ
たか、ふくれっ面で、いただきますも言えないようでは、ボクの短気は100万倍になりま
す。さすがに3歳の女の子を男のボクが殴り飛ばすことはできませんが、これから幾度、
涼子の涙を見るのでしょうか。女房ももうちょっと涼子を叱ってくれれば涼子の涙も少なく
なると思うのですが・・・。
6月4日 食堂と厨房の間に、二またに分かれた長いめの、のれんが掛けられています。
食堂から厨房の動きは、二またに分かれたのれんの小さな間から少ししか見ることがで
きません。同様に厨房からも食堂の動きはほとんど見えません。涼子はよく家の中を走り
回ります。小走りをするという程度ではなく、全力で走っています。食堂からどんどんどん
と走って来た音がしたかと思うと、ど〜んと転がる涼子がまな板の前で仕事をするボクの
目に入りました。どのような角度で厨房に滑り込んできたのか、のれんに突進した直後ビ
ールケースの上の、5センチくらいの板の角に頭をぶつけて大泣きをしました。10円玉程
度のたんこぶができました。大けがでなくてホッとしました。涼子の体が少しずつ大きくな
っているので、板にぶつかってしまったようです。元気はいいのですが、ほどほどに・・・、
な〜んて言って通じる相手ではありません。親が気をつけてやるしかありませんよね・・・。
6月5日 やりました。ふぐが2匹、カレイが1匹、きすが1匹です。昨日の天気予報では
曇りのち雨ということだったので、今日の定休日に山登りは中止にしました。涼子がごそ
ごそ始めた朝8時頃、”今日は魚釣りとバーベキューにしよう!” という女房の提案で、
柿崎の海に出掛けました。予想していた天気とは違って、曇ってはいましたが、とても暑い
日でした。途中のスーパーで、値下げシールの貼ってある味付けのカルビと、缶発泡酒を
買い、釣具屋さんでいそめという餌を買って、我々家族 ”行きつけの海水浴場” に繰り
出しました。驚いたのは平日の昼間だというのに、多くの釣り人が既に魚釣りをやってい
た事でした。車から釣り道具や、食材、炭などを下ろし、女房には炭火をおこし、肉を焼く
準備をしてもらい、涼子には海水をバケツにくんで、砂遊びをしてもらい、ボクは魚釣りに
集中する事にしました。10人はいたでしょうか。誰も魚を釣り上げている気配はありませ
んでした。海は5月とは違って随分穏やかでした。海水も程良い暖かさで、足が濡れてい
るのが気持ちよく感じました。6月の風を感じながら、発泡酒を飲み、炭火で焼いた激安の
肉をほおばり、釣り糸を元気よく海に投げ入れる。ボクの背中の方では、女房が発泡酒片
手に、結果を見透かしているかのようにニタニタ笑いながら肉を焼いていて、涼子が ”お
父さん、がんばってぇ!” と黄色い声援をくれる。また今日もゼロかなぁ、なんてリールを
くるくる回していると、なんと釣れたではありませんか!小学4,5年生の頃に釣り上げて
以来の快挙でした。7,8センチから15センチくらいの小さな魚わずか4匹ですが、その
4匹も釣ってしまうと涼子も感激をしてくれて、ボクに肉は焼いてくれるは、釣っている側ま
で焼いた肉を持ってきてくれるはのサービス満点で、一応親父の面目は保てました。雪解
けの4月より続いた収穫ゼロの魚釣りでしたが、今日だけは女房、涼子にびっくりされま
した。
6月6日 ご存じの方もいらっしゃると思います。定年間近の57歳くらいで裁判官をおや
めになり、それから調理師学校に通い、現在大阪で一品料理のお店を開いていらっしゃ
る岡本さんという方です。新聞やテレビのニュースで時折紹介されています。ボクが初め
て独立したのは屋台の天ぷら屋だったのですが、この天ぷら屋と時を同じくして、岡本さ
んも今の店を開業されました。新聞などで岡本さんの記事を見つけては、ボクもがんばら
ないと、とよく励まされていて、自分の親父くらいの年齢ということもあり、何かしらボクひと
り親しく感じているところがありました。いつかはこのお店に行きたいと思っていたのです
が、それが先日奈良に帰った時に、運良く岡本さんのお店にお邪魔できたのです。さらに
ラッキーだったのは、カウンターから岡本さんの仕事ぶりを見ることができ、話もさせても
らえたのです。もちろん女房も涼子も一緒でした。とても美味しく食事ができたのですが、
何よりひとつひとつ、これでもかこれでもかというくらいに丁寧に仕事がなされているので
す。奈良からこちらへ戻って以来、岡本さんの仕事ぶりが頭から離れず、なんとか和食の
予約の時には、岡本さんのレベルに追いつけるようにがんばろうと思っていました。昨日
の夜その予約が入り、今日は朝から仕入れと仕込みに追われていて、先ほどお客さんは
帰られたのですが、満足していただけたか少々不安です。失礼ではありますが、初老の
岡本さんが調理師としてがんばっていらっしゃるのです。ボクもまだまだ精進します。岡本
さんがボクのノートに書いてくださった言葉です。”我に七難八苦を与えたまえ”
6月7日 イタリア国旗を玄関にぶら下げていました。この国旗は4年間ずっと外にあった
ので、穴が開いていたり、ほつれていたり無惨な格好になっていました。あまりにも小汚く
なっていたので、しばらく取り外していました。ようやく新しい国旗が届き今までのものと比
べてみると、なるほど色まで薄くなっていました。新しい国旗を玄関にぶら下げると、旗だ
けがまぶしいくらいにきれいで、5年目の建物にはもったいないようでした。4年もの間、玄
関にいてくれた古い国旗を捨てるには気の毒な気もするし、いくらか破れていないところも
あるので、涼子とお揃いのパンツでも女房に作ってもらいたいと思っています。いやいや、
パンツになる方が、国旗にとっては迷惑な話かもしれません。
6月8日 今週3回目の上越への仕入れに出掛けました。こちょこちょと予約を頂戴する
ので、これまたこちょこちょと動かなければなりません。先日の魚釣りが涼子にとっても、
随分おもしろかったらしく、時間がとれれば釣り糸を垂れてみようと、釣り竿も車に入れて
出掛けました。なんとか4,50分は遊べるかな、という程度の時間を作って海まで行った
のですが、あいにく波が荒く、釣りはできませんでした。先日と違って誰もいない砂浜で、
遅い昼食をご飯だけが詰められた弁当と鰯の缶詰で済ませました。涼子の砂遊びに波の
うねりは関係なく、パンツの中にまで砂を入れ、満足そうに遊んでいました。長野県地方も
梅雨入りをしたので天気が気になりますが、次の休みにはよいお天気で倒れるくらいに遊
んでいたいと思います。涼子のように・・・。
6月9日 夕方から忙しくなり始め、涼子は近所の友達の家に遊びに行くといって出掛け
ました。食事のお客さんと、宿泊のお客さんの食事が重なり忙しくしていました。外はまだ
明るかったのですが、7時前にもなったので、一段落したところで女房に涼子を迎えに行っ
てもらいました。女房が思っていたところには涼子はいなくて、涼子は誰もいない友達の家
の庭でブランコに乗っていました。その宿からは賑やかな声が庭に聞こえていて、夕暮れ
の中ひとり淋しくブランコに乗っている姿は、あまりにかわいそうだったと女房は言ってまし
た。張り切って遊びに出た涼子だったのですが、みんな忙しくて涼子は誰にもかまってもら
えなかったようです。家に帰ってきてもボク達は仕事をしているし、ブランコが楽しかったよ
うです。ボクにもブランコが作れるくらいの才能があればいいのですが、うーん、父さんに
は無理だよなぁ・・・。
6月10日 持ち帰りのパーティー用料理を夕方にやり終えたあと、夜の食事のお客さん
はありませんでした。朝食の準備から仕事は始まり、ホッと一息、コーヒーを飲みながら目
についた長渕剛の楽譜をめくっていました。高校生の頃に好きだった ”カントリーワルツ”
という曲の歌詞を読み返していました。恋人と二人でハンバーガーや、ポップコーン片手
にカリフォルニアをヒッチハイクしながら旅をする、という内容の歌なのですが、高校生の
頃は自分も彼女と二人で、こんな旅行ができればいいなぁと憧れていたものです。今この
歌詞を読んでみて、もうこんな旅は自分にはできないのかと思うと、何か悲しくなってきま
した。”奥さんがいるやン!” と言われそうですが、女房と恋人は違います。女性読者に
はお叱りを受けそうですが、そういうものなのです。また、ヒッチハイクをしながら旅をする
のが似合う年齢でもなくなりました。本当に悲しいものです。自他共に認める青春というも
のが終わったということなのでしょう。自分だけは死ぬまで青春だと思っていても、醜いも
のは醜いのです。涼子にはこれからこんな旅ができるわけです。まだ少し先の事でしょう
が、こんな旅が似合う年齢になるわけです。悔しいなぁ!少なくとも夢のある男と一緒に
旅に出ろよな!
6月11日 最近涼子は皿洗いをしてくれるようになりました。とは言っても、まともにでき
る訳ではありません。女房もボクも厨房で忙しくしていると、涼子も何やらお手伝いをした
いなどと口走って、皿洗いを、要するに水遊びをしに来るわけです。忙しいからちょっと後
にして、というような事を言っても、”りょこたんもする!” と言って聞きません。皿洗いが
本当にできるようになれば、手伝いなどやらないのでしょうね。
6月12日 6時過ぎに起き、弁当を詰めて白馬の八方に向かいました。八方から山登り
をするのはボクが15歳の夏以来、実に22年ぶりであります。3本のリフトを乗り継ぎ、標
高1800メートルくらいまで一気に上がります。登山者はここから唐松岳を目指しますが、
ハイキングと言うのか、トレッキングと言うのか実に軟弱な装備で山歩きを楽しむ人の多
くは八方池辺りまで登ります。現在のボクは恥ずかしながら、軟弱チームに所属していま
すので、八方池を目指しました。とは言ってもなかなかの登山であります。涼子は ”だっ
こ、おんぶ、疲れちゃった” を連発しながら、ぐずぐずだらだらではありましたが、見事に
標高2000メートル辺りの八方池まで歩き通しました。山歩きをされている多くの人は中
高年の方々で、ぐずぐず歩いている涼子を見つけては声を掛けてくださいました。帰りも
リフト乗り場まで歩き通し、涼子はがんばりました。帰りに温泉につかって、ドライブインで
食事をしました。”今日はお山登りして、リフト乗って、温泉入って、楽しかったねぇ” と言
うと、涼子は ”もうお山ぼ・の・りはやだ!もう行かない!” と怒ったように言いました。
”どうしてやなの?” ”しんどいから” ”お山登りと魚釣りとどっちが好き?” ”どっちも
キライ!” ”じゃあ、次のお休み何がやりたい?” ”なんにもやりたくない!” ”・・・”
何もかもイヤにさせてしまったようです。困った事になりました・・・・・。
6月13日 晩ご飯の途中で ”眠たくなってきた” と言いだした涼子に、早くお風呂に入
って寝ようと答えたら、涼子はすぐさま裸になり、ボクはもうちょっとゆっくり食べていたかっ
たのに、お風呂に入りました。眠たいと言っていたくせに、風呂にはいると、涼子はとても
元気で、お風呂から出ようと言っても、もっと遊ぶと眠気はどこかへいった様子でした。初
めて涼子に背中も流してもらって、ご機嫌のまま風呂から出た後、女房に背中を流しても
らった話をすると、女房はずっと以前から洗ってもらっていたと言うので、なんかがっかり
してしまいました。父さんにももうちょっとサービスしろよな!
6月14日 昨晩からの雨が一日降り続いていました。買い物に出た以外はずっと家の
中にいました。故に涼子は家の中で大暴れの一日でありました。遊び相手の多くは女房
がやっていて、毎日疲れがとれないとぶつぶつ言いながらも、買い物ごっこやボール遊び
につき合わされていました。ボクはと言えば、一昨日火曜日の白馬の山脈を思い出して
はニタニタしていました。梅雨時期だというのに天気に恵まれて、弁当を広げた八方池か
らの風景は、久々に目にした見事な風景でありました。唐松岳から不帰の剣、そして白
馬三山、小蓮華岳、白馬乗鞍へと続く山脈、頭を90度くらい東に向けると、妙高や戸隠
が見られて、赤ワインを片手に極上の贅沢を味わっていました。そんなバツグンの風景の
中に身を置きながら、お山ぼ・の・りはキライと言う涼子はなんと親不孝なのでしょう。そん
なにお医者さんごっこがおもろいんかよぉ!
6月15日 赤ん坊の涼子をお風呂に入れている時、3ヶ月頃までは早く首がすわらない
かなぁと、それからは早くイスに座ってくれないかなぁと、さらには立ってくれないかなぁと、
話すことがわかってくれないかなぁと、いろいろ考えながら、悩みながら過ごしていました。
今ではお風呂の中でも遊んでばかりで、少しはじっとしてほしいくらいです。体を洗い、頭
を洗い、湯船に入れてホッとできるかなと思いきや、ばた足をしてしぶきを上げて遊んで
います。どうしてこんなに元気なのでしょう・・・。
6月16日 今日は土曜日で近所のお姉ちゃん達がいるので、涼子は一緒に遊んでもら
えて大ハッスルです。先日転んで擦りむいた右足の傷が治りかけていたのに、また同じと
ころを擦りむいていて、それでも走り続けています。転んで顎と下唇の間を切って、血を流
していたときは、さすがに大泣きをしていましたが、すぐに立ち直り、また走り回っていま
す。夕方になり、みんなが家に帰ると、ふてくされた表情で涼子も家に入ってきます。どうし
てこんなに楽しく遊んでいるのに、みんなは家に帰るのだろう?って感じです。涼子は毎日
ものすごい勢いで遊び続けています。
6月17日 けがをしたところに絆創膏を貼っている涼子の姿は、とても女の子には見え
ません。今日も右足のすねに近いところをぶよに刺されて、小さな右足全体が風船を膨ら
ませたように、パンパンに腫れあがっています。ぶよに刺されると大人でも1週間くらいは
腫れがひかず、痛くて痒くてつらいものなのです。つい先ほど、痛い、痒いと何度も繰り返
しながら、とうとう眠ってしまいましたが、日中はそんなことはお構いなしです。本当に疲れ
る事を知らないかのように遊んでいます。外で涼子達の遊びを見ていた女房に恐ろしいこ
とを聞かされました。数人で遊んでいた涼子達の会話です。”鬼ごっこしよう!” ”誰が鬼
になる?” ”ちかちゃんに鬼になってもらおう!” 何を隠そう、ちかちゃんとはボクの事
なのです。なんで家の中で潜んでいるボクが、呼び出されないといけないのでしょう。君た
ちの遊びにはおつきあいできません。ちかちゃんは疲れています。どうか君たちだけで遊
んでいて下さい。ちかちゃんは汗をかいたり、けがをしたり、虫に刺されるのが大嫌いで
す。わかってちょ〜だいっ!
6月18日 日が長くなり、最近では7時半くらいまで暗くなりません。子供達も過ごしやす
い夕暮れ時に、結構遅くまで遊んでいます。庭のベンチで、涼子も含めた数人の子供達
が遊んでいました。本の絵を見て何かを言い当てて遊んでいます。猫だったり、犬だった
り、イチゴだったりします。イルカの絵が出てきました。涼子は元気よく ”イ・ク・ラ!” と
答え、みんなは大爆笑です。それに味を占めた涼子は、わざと間違いの答えを言ってみ
んなの笑いを誘います。犬が出たらブタだとか、みかんが出たらバナナだとかを言うので
す。多くの人は自分が間違った答えを言ったりすると、恥ずかしくなって、しばらくは答えら
れなかったりすると思うのですが、涼子はますます変な答えを言ってしまいます。コメディ
アン向きの性格かもしれません。楽しみです。
6月19日 あいにくの天気だったのですが、柿崎での魚釣りを決行しました。いつものよ
うに発泡酒と激安カルビ、そして餌のいそめを買って現場に到着しました。予想に反して、
柿崎の海は穏やかで、雨もやんでいました。何となく嬉しくなってきたボクはひとりニマニ
マしながら、バーベキューや魚釣りの準備を始めました。親は発泡酒、涼子はレモンジュ
ースで乾杯をした後、ボクは釣り糸を投げ、女房は炭をおこし始めました。涼子はちょろ
ちょろとボクの周りを、暴れん坊将軍のしんさんのように青い網を振り回しながらうろつい
ています。小雨が降り出しましたが、傘を差しながら全ては続行されます。そのうち波がだ
んだん荒くなってきました。それでも全ては続行されます。涼子がボクのそばにいられない
ほどの波になってきました。雨も強くなり始め、波がボクのズボンとパンツをずぶぬれにし
ますが、続行されます。釣り竿を砂浜におき、肉をほおばりながら考えます。こんなにうま
い食事はないなぁって。どんなに一流のシェフや板前が料理をしたところで、広い大きな海
を眺め、波の音を聞きながら、炭火で焼くグラム68円の、さらに2割引のカルビ肉には勝
てないと思います。どうしてこんなものが、こんなに美味しいのでしょう。染み付いた貧乏
性が消えないのでしょうか。いえいえそうではありません。自然というものはすごいので
す。海や山での食事は、どんなにつまらないものでも美味しく感じさせてくれるのです。涼
子だって家で食べるよりたくさん食べてしまうのです。結局今日は収穫ゼロでした。悪い
のは天気のせいにしておき、次回を期待することにしましょう。
6月20日 ”今日はビール飲まないの?” と風呂上がりのボクに、涼子は聞いてくれま
した。ボクは自分のお腹をさすりながら、”毎日飲むとどんどんお腹がカッコ悪くなってき
て、誰も遊んでくれなくなるの。だから今日は飲まない” と答えると、これまたボクのまあ
るいお腹を涼子がさすりながら ”そしたらりょこたんが遊んであげる” と言ってくれまし
た。優しい娘が勧めてくれるんだし、蒸し暑いし、今日も飲むとするか・・・。
6月21日 去年の6月のこの日記を読んでいると、ボクの腰痛、足痛でヒト月が終わっ
てしまっているようです。本当に大変でした。ひどいときには歩くことはおろか、5分と立っ
ていられませんでした。またそういう状態の時に限って、お客さんがたくさん来て下さった
りするものなのです。今年はおかげさまで、完治しているとは言えませんが、山登りや魚
釣り、それにジョギングなどをしても、痛みのあった足腰には影響がないので、ホッとして
います。また逆に、バリバリ働く元気がいっぱいなのに、去年よりこの6月は食事のお客
さんも宿泊のお客さんも少ないので、人生ってこんなものかなぁって考えたりします。去年
の涼子はようやくオシッコを言えるようになったところでした。今年は春先にウンチを言え
るようになったので、少しずつですが成長しているようです。来年の6月はどうなっている
のでしょうか。ボクも涼子も成長していることを祈ります。
6月22日 毎年夏にはもう一つ冷蔵庫がほしいなぁと話していたのですが、今年は買う
ことに決めました。その冷蔵庫が今日届き、少しは仕事が楽になるかもしれません。新品
の冷蔵庫なので、周りのものがより汚れて見えたので、みんなで掃除をしました。女房と
ボクは真剣ですが、涼子はやはり手の動きよりも口の動きの方がなめらかなようで、本当
によくしゃべります。何をしゃべっているのかよくわかりませんが、べらべらきーきーとうる
さいくらいです。いったい誰に似たのでしょうか?涼子が新しい冷蔵庫のように戦力にな
るのはいつなのでしょう?
6月23日 テレビの洋画でアンタッチャブルをやっていました。ボクがテレビを見始めた
頃、涼子は既に映画の中に入っていて、ボクが部屋に来たことすら気づきません。涼子
は爆発や、暴力シーンのある映画が大好きです。怖い怖いと言いながら瞳が画面から離
れる事はありません。どうしてこんなのが好きなのでしょう?もう少しおとなしいめのもの
を好んでくれる方が何となくいいとは思うのですが、ドーン、バーン、ガチャーンと激しい
めがタイプのようです。
6月24日 近所のお父さんに連れられて、涼子はさくらんぼ狩りに行きました。誘っても
らった時、”りょこたんも行ってもいいの?ホント?” ととても嬉しそうな顔をしていました。
さくらんぼ狩りから帰ってきた涼子が興奮気味に、”ようかちゃんがゲーッてやった” と、
車酔いした友達のことが、さくらんぼ狩りより印象に残ったらしく、一生懸命話していまし
た。”さくらんぼはどうやって採ったの?” と聞いても ”わかんない” と一言。車中に広
がった、お腹から出てきたさくらんぼがかなり衝撃的だったようです。
6月25日 雨が降ったり止んだりでうっとうしく、その上蒸し暑い一日でした。扇風機を出
してきました。涼子は傘を差して外に出ましたが、しばらくして戻ってきました。玄関でシャ
ボン玉をいっぱい作って遊んでいました。家の中では相変わらず大暴れで、髪の毛は汗
でびしょぬれ、首筋も汗でべたべたです。こんな梅雨の日でも、うっとうしくもなんとも感じ
ていないようです。
6月26日 奈良で住まいをしている頃、奈良県南部の山に登山に行き下山した後、暗く
なった川沿いの道を車で走っていると、風呂上がりに浴衣を着て、うちわを扇ぎながら夕
涼みをしている子供達をよく見かけました。今の時期はホタルが飛ぶのを眺めながらの
夕涼みで、とても羨ましく思ったのを覚えています。ボクが暮らす地域へ帰ってくると、外
で夕涼みなどしている子供などひとりも見かけず、おそらくエアコンのガンガン効いた部屋
でファミコンなどをしていたのでしょう。もっとも涼しい風も通らない地域ではあったのです
が・・・。ボクも結婚をして子供を育てなければならなくなりました。ボクが子供に与えてや
る環境として選んだのは、便利な都会のエアコンではなく、不便な田舎のホタルでありまし
た。先ほど新潟長野の県境を車で走っていたときに、ホタルの乱舞に出くわしました。毎
年ホタルを見るために涼子を連れて出かけますが、今までは何がなんだかわかっていま
せんでした。ところが今年はあっちからも、こっちからもホタルが飛んできて、涼子はとて
も嬉しそうでした。ホタルが涼子の成長に大きく影響するなど全く考えられませんが、大人
になったある日の初夏に、フッと思い出してくれればと思います。
6月27日 自己啓発の意味もあり、年に何回か仕事に関するセミナーを受けます。お昼
前強い雨が降っていたその時に、長野市方面に向かいました。皆さんホントにお金儲け
に一生懸命です。ボクも一生懸命は当たり前ですが、遊びの方がボクはもっと真剣です。
実は昨日またまたやりました。直江津での魚釣りで、10数匹を釣り上げました。シイラギ
と言う名前の魚がほとんどだったのですが、この魚の群にでも出くわしたのか、ばかばか
釣れてしまって、ボクは女房、涼子から尊敬の眼差しではありませんが、キャーキャー言
ってもらって売れっ子芸能人にでもなった気分でした。涼子にもリールを巻かせてやると、
一度に2匹もかかっていて、大喜びでした。魚釣りも商売もはたまた人生も同じではない
でしょうか。良いときも悪いときも必ずあるものです。悪いときにどのような心の持ちようで
いられるかが、勝負になってくるような気がします。
6月28日 よく言われることなのですが、涼子とボクの顔がそっくりなんだそうです。涼子
が生まれて間もない頃から言われ続けているのですが、今日も八百屋のおばちゃんに
”おたくの子供に間違いないわ!そっくり!” とゲラゲラ笑われてしまいました。ボクには
どこがどのように似ているのか全くわからないのですが、似ているそうです。ボクは構いま
せんが、涼子はどう思うのでしょうか?なんでこんなポチャポチャのくそ親父に似てるんだ
ろうと、情けなくなったりするんでしょうねぇ。父さんもちょっと前まではかわいかったんやけ
どなぁ・・・。
6月29日 夜からバタバタと少し忙しくなりました。お客さんが混みあうと、電話も鳴り、
涼子も何かと注文をしてきます。お客さんのオーダーや電話は仕事ですから、怒っていた
のでは話になりませんが、涼子の注文だけは本当に腹が立ってきます。忙しくなり始める
と、”ミルク” ”おしっこ” ”ガオレンジャーつけて” ”うんち” ・・・・・、なんだかんだとキリ
がありません。その都度手を止めて涼子の対応をしなければならないので、お客さんを待
たせる事になるし、ボク達も疲れてしまいます。仕事を終えて、涼子と風呂に入りました。
自分の体を洗って、涼子の体を洗って、湯船に入ってフーッと息をつく間もなく、”今日は
疲れちゃったねぇ!” と言われてしまいました。ええ加減にせぇよぉ!
6月30日 どういう訳かとても忙しい日で、久々に一日料理をしていた感じです。雨の日
であったにもかかわらず、多くのお客さんにお越し頂きました。もちろん涼子にも注文もし
てもらいましたし、お手伝いと言う名の大いなる邪魔もしていただきました。とりあえず長
い一日が終わりました。ほーっ・・・。



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